山田養蜂場運営の研究拠点「山田養蜂場 健康科学研究所」が発信する、情報サイトです。ミツバチの恵み、自然の恵みについて、予防医学と環境共生の視点から研究を進めています。

花粉荷 ローヤルゼリーの原料となる栄養食に秘められた、健康パワー

近年、栄養バランスだけでなく、健康へのさまざまな機能が注目されている「花粉荷」。勉強熱心なみっちに、ハチロー博士がわかりやすく教えます。

花粉荷はミツバチたちの
完全栄養食

みっち: 働きバチたちは巣に戻ったあと、花粉荷をどうするの?
ハチロー博士: 花粉荷は働きバチたちの食糧になるので、巣のなかで大事に保管されるんだ。
みっち: そういえば、みっちのママも、帰ったらすぐ冷蔵庫にしまってる!
ハチロー博士: ミツバチの巣には冷蔵庫はないから、働きバチたちは、積みあげた花粉荷にはちみつをぬり、保存がきくようにして、自分たちの食糧としているんだ。
みっち: へぇー、ミツバチってカシコイ!

花粉荷は、重さ数十キログラムの大荷物!

働きバチが巣に持ち帰った花粉荷は、巣房(六角形の部屋)のなかに保管されます。ひとつの巣房に20個ほどの花粉だんごがきっちりと押し込まれるさまは、まるで倉庫のよう。
花粉だんごの重さは、2個(足一対分)の平均で15~38 mgあり、ひとつのミツバチの群れが集める花粉荷の量は、一日当たり0.1 kg~1kg。年間にすると15~40 kgもの量となります。

働きバチはこの花粉荷にはちみつをぬることで保存性を高めますが、あたたかい巣のなかで、花粉荷にはやがて乳酸菌などの有用菌による発酵が起き、花粉荷は“蜂パン”と呼ばれる発酵物に変化します。働きバチたちはそれを自分たちの食糧にし、幼虫にも与えるのです。

みっち: 働きバチたちって花粉や蜜を集めるために、すごく働いているでしょ。それなのに、食事は、花粉だけなの?
ハチロー博士: ミツバチの食糧源は、花粉と花蜜なんだ。彼女らの食事は、それらをもとに作った、はちみつやハチパンなんだよ。特に花粉は、あらゆる栄養素がバランスよくふくまれていて、「完全栄養食」といわれているくらいなんだ。

花粉荷は豊富な栄養源

はちみつがエネルギー源となる糖質が多いのに対し、花粉荷はタンパク質やアミノ酸、ビタミン、脂質、ミネラルといった栄養がバランスよく含まれます。働きバチたちはこうした栄養素を花粉荷から摂り、自分の体からローヤルゼリーを生み出すための栄養源としています。ただ、ヒトが利用する場合、問題になるのは花粉の消化。

ひとつの花粉荷には、8000から3万ほどの花粉の粒がふくまれていますが、花粉の細胞壁は非常に硬く、土の中にあっても、何十万年と分解されないものもあるそうです。そこで、花粉の栄養をより吸収しやすくするため、細胞壁を砕いて細かくし、ヒトが消化しやすい形に加工した商品も出ています。

明らかになる健康機能~最新研究ダイジェスト 花粉荷