2時限目 聞こえにくいのを放置すると・・・

2時限目 聞こえにくいのを放置すると・・・

会話や日常生活の聞き取りに不安を感じても、すぐに具体的な解決策をとる人はあまり多くないようです。

一過性のものだと放置したり、年のせいだから仕方ないと諦める人もいます。

しかし、難聴を放っていると、ほかの様々な不調を招くことになりかねません。

ここでは難聴による、さらなる耳の不具合をご紹介します。

難聴によるストレスが引き金になって…

長さ キーン 気になり方 大きさ ゴーン 頻度

音がしていないのに、キーン、ジー、ミーン、ゴーなど、雑音が聞こえたことはありませんか?こういったいわゆる「耳鳴り」には、大きく2種類あります。

ひとつが「自分だけに聞こえる音」と、「周りにも」同様の音が聞こえてるケースです。これらの耳鳴りを、65歳以上の約3人に1人が感じているといわれています。

脳のガンバリが雑音の原因

脳のガンバリが、耳鳴りを起こす 加齢や病気などによって、耳がよく聞こえなくなると……。脳は異常事態だと感じて、足りなくなった音を補おうとします。脳によって補われた音が、人にとっては耳鳴りと感じられます。

耳鳴りにはいくつかのタイプがあります。なかには原因がよくわかっていないものもありますが、上図に示したように、「脳のガンバリ」によって起こるものがあると考えられています。

ここでいう「脳のガンバリ」とは、睡眠不足や乱れた食生活による体の負担があります。さらに、難聴による「聞こえないストレス」が、体調に悪影響をもたらし、耳鳴りを引き起こす原因とも考えられます。

頭のなかでは常に“音”が鳴っている?

耳鳴りの音は、多くの場合、外から入ってくる音ではなく、脳がつくり出しているものです。種類によっては、「実際に聞こえる音」もありますが、加齢によって起こる耳鳴りなどは、頭の中だけで鳴っているものです。実は「頭の中で音が鳴っている」状況は、特別なことではありません。実験で、音を完全にさえぎった「無響音室」をつくり、ふだんは耳鳴りの症状がない人に入ってもらうと、70%の人が耳鳴りを感じるといいます。このことから、頭の中で音が鳴っていても、音が小さければ耳鳴りとして感じられず、加齢などにより耳が聞こえにくくなると、頭の中の音が大きくなり、耳鳴りとして感じるようになるのだと考えられます。

耳鳴りのタイプ

自覚・他覚の分類

自分だけに聞こえる耳鳴り

頭の中だけで音が鳴っている。難聴が原因で起こる耳鳴りはこのタイプ。

聴診器などで他人にも聞こえる耳鳴り

血液が通る音など、体の内部の音が原因。

音の高さによる分類

高音性耳鳴り

キーン、ピーなどの金属音や電子音が聞こえる。

高い音が聞こえない高音域の難聴にともなって起こることが多い。

内耳から脳までの、音を感じとる部分にトラブルがあることが多い。

加齢性難聴が原因の場合はこの耳鳴りが起こりやすい。

低音性耳鳴り

ブーン、ボーンなどの音。耳が詰まったように聞こえる。

低い音が聞こえない低音域の難聴にともなって起こることが多い。

外耳から中耳までの、音を伝える部分にトラブルがあることが多い。

中耳炎や鼓膜の損傷で起こるほか、最近では若い人がストレスによって低音性耳鳴りを起こすことが増えている。

そのほか、1つの音だけが聞こえるか、複数の音が混ざって聞こえるかの分類や、突発性のものか、慢性的なものかなどの分類があります。

耳鳴りの改善方法

耳鳴りを小さく感じるとき体調がいいとき、あくびをしたり物を噛んだりしたあとなど。 耳鳴りが大きく感じるときストレスにさらされたとき、疲れたとき、スポーツ後、飲酒後、長時間のドライブのあと、血圧が高いとき、貧血のときなど。

耳鳴りをよくする要因と悪化させる要因を知り、生活を工夫しましょう

難聴があると、周囲の音が脳に伝わらないため、相対的に耳鳴りが大きく感じられます。また、聴力が低下すると、それを補おうとして脳が頑張りすぎるため、ストレスがかかって耳鳴りが強くなると考えられます。したがって、聴力が回復したり、補聴器などで補うなどすると、脳は頑張る必要がなくなり、耳鳴りが改善されることがあります。耳鳴りを改善するには、聴力をよくすること、ストレスを減らすことが有効だと考えられます。また、疲れたときや、血圧が高いときなどは耳鳴りが大きくなる傾向があり、反対に、体調がいいときには小さくなります。日ごろから体調を整え、耳鳴りを悪化させる要因を避けるように心がけることが、耳鳴りの症状をやわらげ、改善につながるでしょう。

これでストレス解消!!

聴こえにくさは耳鳴りの原因になり、耳鳴りがあるとストレスが高まります。そしてストレスは耳鳴りを悪化させる原因になるため、悪循環に…また、ストレスはめまいの原因にもなります。

食事や簡単な体操で、ストレスを解消しましょう。

ストレスに良い栄養素

  • ビタミンB1

    主な食べ物
    牛乳・豚肉・鶏レバー・白米・食パン・ごま・そば・ウナギ

  • ビタミンC

    主な食べ物
    柑橘類(レモン、みかんなど)・キウイ・イチゴ・ピーマン

  • カルシウム

    主な食べ物
    乳製品(チーズ・ヨーグルトなど)・イワシ・豆腐・小松菜

  • タンパク質

    主な食べ物
    肉・魚・卵・牛乳

ストレスに良い体操・ストレッチ

  • ゆっくり息を吐きながら前屈

    かかとを前につき出す肩甲骨(けんこうこつ)を広げる背中は丸めない

    床に座ってかかとをつき出し、肩甲骨(けんこうこつ)が開くように意識して、前かがみになります。ゆっくり息を吐いて、おなかの筋肉がゆるむのを感じながら、上体を倒していきましょう。

  • あお向けになって力を抜くだけ

    足を軽く開く腕を軽く開く目を閉じるゆっくり呼吸

    あお向けに寝て、手足を軽く開きます。目を閉じて全身の力を抜き、ゆっくり自然な呼吸をします。そのまま5分から10分ほど休みましょう。ヨガで、ほかのポーズの合間や最後に行うポーズです。

いすに腰かけてかんたんストレッチ

  • 1 息を吸いながら腕を上げる 背筋を伸ばして、腕を上げていきましょう。息は鼻から、大きく吸います。
  • 2 頭の上で親指をからめる 親指をからめ、ひじを外側に向けて腕を上に伸ばします。
  • 3 首を倒して脇の筋肉をしめる 2の姿勢で息を止めたまま、首を前に倒します。脇の筋肉をキュッとしめたあと、口から息を吐いて5秒間そのまま。
  • 4 息を吸いながら腕を下ろす 鼻から息を吸いながら腕をゆっくり下ろします。最後は口から大きく息を吐きましょう。