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「健やかに」発刊録

健やかに 2015年2月号 メタボリック症候群の先は病気のリスクが一気に加速!

メタボリック症候群の先は病気のリスクが一気に加速!

おなか周りについた脂肪は深刻な病気へつながる道の一つめの危険信号。
ここで引き返せないと、メタボリックシンドローム(症候群)という二つめの危険信号が現れ、命にもかかわる病気へと一気に加速していきます。
一つめの信号で引き返せなかった人は、ここで確実に生活を改善して、「健康の道」を進んでいきましょう。

内臓脂肪がすべての発端に!?

年齢とともに現れてくるサイン

日本人の死亡原因の第2位と4位である「心疾患(心筋梗塞など)」と「脳血管疾患(脳梗塞、脳内出血など)」をはじめ、生活習慣病と呼ばれる病気は、生活習慣の中に何らかの悪い要素があり、その蓄積が原因となって起こると考えられています。
若いころは、少しくらい生活習慣に偏りがあっても、表面的には異常がないかもしれません。しかし、その生活を続けていると、中高年になったとき、異常を知らせるサイン、危険信号が現れてくるのです。
最初に現れるのは、どんなサインでしょうか?
血糖値、血圧、コレステロール値など健康診断で調べる値はもちろんですが、それ以前に、自分で気づくことができるサインがあります。それは、内臓脂肪です。

内臓脂肪と皮下脂肪の違い

内臓脂肪はなぜいけないの?

詳しい仕組みはまだ解明されていませんが、内臓脂肪が増えると、脂肪細胞が病気の発症にかかわるさまざまな物質を出すといわれています。
この危険な内臓脂肪がたまった内臓脂肪型肥満は、高血糖、高血圧、脂質異常などをもたらす原因となり、さらに進行すると、動脈硬化や、肝臓に脂肪が蓄積した脂肪肝になったり、糖尿病になる……といったリスクが一気に高まります。そしてこれらの先には、心筋梗塞、脳卒中、肝硬変、神経障害などの生命にかかわる病気が待ち受けているのです。
こうした深刻な事態になるのを防ぐために開始されたのが「特定健康診査」、いわゆるメタボ健診です。

内臓脂肪が発端となって起こる生活習慣病

第2の危険信号 メタボリック症候群まで進んだら 高血糖・高血圧・脂質異常の解消を

内臓脂肪が多い人は "少し高め" でも危険

メタボリックシンドロームの診断基準

食生活では、主に血糖値にかかわる糖質、血圧にかかわる塩分(ナトリウム)、脂質異常にかかわる脂質、そしてエネルギー量(カロリー)を摂りすぎていないか、バランスよく栄養を摂れているかの見直しを。メタボリックシンドローム(症候群)の診断では、上に示したように、腹囲を測って内臓脂肪がつきすぎていないかをチェックするとともに、血糖・血圧・血中脂質の値をチェック。
血糖値と血圧は、糖尿病や高血圧の診断基準よりも少し厳しい値になっています。これは、内臓脂肪がつきすぎている上に、血液や血管に不健康な兆候がみられれば、既に危険信号の第2段階になっているので、少しでも早く改善してもらうためです。
どこに異常が現れるかは、遺伝的な体質などにも影響されます。しかし、遺伝的な要因があっても、生活習慣を改善することで、病気になりにくくすることができます。
まず内臓脂肪を減らし、悪い結果が出たところを改善できるように生活習慣を改めましょう。食生活では、主に血糖値にかかわる糖質、血圧にかかわる塩分(ナトリウム)、脂質異常にかかわる脂質、そしてエネルギー量(カロリー)を摂りすぎていないか、バランスよく栄養を摂れているかの見直しを。次から改善のコツを紹介します。

内臓脂肪をためない基本の生活習慣

食べすぎないためのコツ

食べた物と体重を記録

食べた物と体重を記録ノートに、食べた物と体重を記録しましょう。毎日続けて記録することで、自然に食事量を意識できるようになります。外食の際や市販のお弁当を食べるときなど、エネルギー量が何キロカロリーと表示されていれば、それも書き留めてください。くり返し記録している内に、おおよそのエネルギー量がわかるようになります。
体重は、起床直後のトイレの後や、夕食後、就寝直前などと決めておき、1日1回または2回、計りましょう。

野菜を先に食べる

野菜を先に食べる野菜を先に食べる、というルールを守るだけで、たくさんの利点が生まれます。
① 必ず野菜を食べるようになる
② 食物繊維を先に摂ることで、血糖値の急上昇を防げる
③ 低カロリーの野菜を食べて食欲が落ち着くので、食べすぎない
などです。
体重を減らす場合、目標を1日50~100g減にすると成功しやすいといわれます。それ以上、急激にやせると、反動で食欲が抑えられなくなり、体重が再び増加する「リバウンド」を起こしやすくなるためです。

内臓脂肪を減らすのはきつめの有酸素運動

ウォーキングならば、自分で歩く速度を調整して、ちょうどよいきつさに加減できます。脂肪を燃焼させてくれるのは、呼吸をしっかりしながら行う「有酸素運動」です。少し息が切れて、軽く汗ばむくらいのきつさが効果的。ウォーキングならば、自分で歩く速度を調整して、ちょうどよいきつさに加減できます。1日30分~1時間のウォーキングが目安です。
有酸素運動を基本に、筋肉をつける「軽めの筋トレ」も加えましょう。筋肉が少ないと、動かないでいても消費される基礎代謝が減り、やせにくくなります。下欄で紹介した、テレビを見ながら簡単にできる“ながら筋トレ”を参考にしてください。

"ながら筋トレ"で代謝をアップ

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