山田養蜂場運営の研究拠点「山田養蜂場 健康科学研究所」が発信する、情報サイトです。ミツバチの恵み、自然の恵みについて、予防医学と環境共生の視点から研究を進めています。
私たちが食べている食品の中には、健康を維持したり、不調を改善するために必要な成分が含まれているものがあります。
人類はそのことを経験的に知り、生活に取り入れてきました。
現在、世界中の科学者が、「〈なぜ〉〈本当に〉効果があるのか」という問題を解明するため、研究を行っています。
その中から、3つのみつばち産品(ローヤルゼリー、プロポリス、蜂の子)と、5つの健康素材の研究を紹介します。
ローヤルゼリーは、乳白色のとろりとした液体。そのまま食べると酸味の強い味です。
はちみつは、「働き蜂が花蜜を集めて巣で熟成」させて作られるのに対して、ローヤルゼリーは「働き蜂が花粉などを体内で消化・分解し、分泌」してつくられます。ですから、はちみつとローヤルゼリーは味も成分も異なります。
ミツバチにとってローヤルゼリーは、「女王蜂を育てるための特別食」です。ミツバチの卵は、見た目も遺伝子レベルでみても、働き蜂と女王蜂の違いがまったくありません。孵化(ふか)したあとにローヤルゼリーを食べ続けた蜂だけが女王蜂になるので、女王蜂はローヤルゼリーによってつくられるともいえます。
女王蜂は体の大きさが働き蜂の2~3倍あり、寿命も30~40倍の長さ。また、女王蜂は卵を産むことができます。
ローヤルゼリーの成分の特長は、全種類の必須アミノ酸をはじめとするアミノ酸が豊富であり、ビタミンやミネラルも含む栄養の宝庫であること、デセン酸などローヤルゼリー特有の成分を含むことなどです。
人類は古代からローヤルゼリーの恵みを受けてきました。今、世界の科学者が、ローヤルゼリーを人々の健康に役立てる研究を行っています。その中の2つを紹介します。
培養した骨芽細胞(こつがさいぼう)にローヤルゼリーを添加し、骨芽細胞の観察とコラーゲン量の測定を行いました。
骨芽細胞にローヤルゼリーを0.01、0.1mg/mlの濃度でそれぞれ添加し、24時間培養。骨芽細胞の増殖を観察したところ、ローヤルゼリーを添加したものは、どちらの濃度でも骨芽細胞が増殖しました。
骨芽細胞にローヤルゼリーを0.1mg/mlの濃度で添加し、培養してコラーゲン量を測定。ローヤルゼリーを添加したものは、添加しなかったものと比較してコラーゲン量が増加しました。
冷え症は、以前は更年期症状の一つととらえられていましたが、現在は若い女性にも多くみられることがわかっています。
そこで、冷え症と診断された若い女性を8人ずつ次の3グループに分け、プラセボ(※1)を用いた二重盲検法(※2)による試験を行いました。
● プラセボを飲用するグループ
● 低用量のローヤルゼリー(生換算量4200mg/日)を飲用するグループ
● 高用量のローヤルゼリー(生換算量8400mg/日)を飲用するグループ
それぞれの試験食を2週間飲用後、両手を水に浸して温度を下げる「寒冷ストレス負荷」をかけ、手指の表面温度が回復する経過を測定し、比較しました。
試験の結果、ローヤルゼリーを飲用したグループは、低用量グループ・高用量グループともにプラセボグループより回復が早くなっていました。