山田養蜂場運営の研究拠点「山田養蜂場 健康科学研究所」が発信する、情報サイトです。ミツバチの恵み、自然の恵みについて、予防医学と環境共生の視点から研究を進めています。
ミツバチの恵みは8つといわれ、「ローヤルゼリー」「プロポリス」「はちみつ」「蜂の子」「蜜ろう」「花粉荷」「蜂毒」「ポリネーション(花粉媒介)」のそれぞれが、古くから人々の暮らしと共にあります。近年、新しくはちみつ乳酸菌が発見されたため、9つの恵みといえるかもしれません。
ミツバチの恵みの一つであるローヤルゼリーの歴史は古く、古代ギリシャの哲学者・アリストテレスがその著書に、ローヤルゼリーが女王蜂を生みだす鍵であることを記しています。19 世紀にはローマ法王が、健康のためにローヤルゼリーを使用したことが国際学会で発表され、その有用性が改めて認識されました。
このように私たちの健康に役立てられてきたローヤルゼリーですが、現在、まだ知られていない健康作用や、なぜその作用が起こるのかを検証するさまざまな研究が進められています。
ミツバチは、自分たちの生命を守るためにさまざまな種類の食糧や生産品をつくりだします。その多くは、私たち「人」にもたくさんの恵みを与えてくれています。
ローヤルゼリーは、働き蜂が花粉を体内で消化・分解して生成し、頭部にある下咽頭腺(かいんとうせん)と大あご腺から分泌する乳白色の物質です。女王蜂だけが生涯にわたって食べ続ける特別な食べ物で、タンパク質、炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラルなど40種類以上の栄養素がバランスよく含まれています。
ミツバチがまだ卵のときには、働き蜂と女王蜂の違いは、遺伝子レベルでみてもまったくなく、ローヤルゼリーを食べ続けた幼虫だけが女王蜂となるのです。
女王蜂は、働き蜂より体が大きく、寿命は30~40倍。毎日1,000~1,500個もの卵を産み続けます。1日に産む卵の総重量は自分の体重と同じくらいになるという、驚異的な生命力を維持しています。
プロポリスは、ミツバチが植物の樹脂や新芽からつくりだすもので、花粉やミツバチの唾液(だえき)なども含まれています。樹脂や新芽には植物が自分を守る物質が含まれており、ミツバチはプロポリスを巣に塗りつけることで、巣内での菌の増殖を防いだり、巣を清潔に保っているのです。
特に、ブラジル産のプロポリスには、有用成分が多く含まれています。
中国で数千年の歴史を持つ、貴重な健康食材として知られる蜂の子。
日本でも滋養のある食品として愛され続けており、特に長野県や岐阜県の郷土料理として有名です。蜂の子のタンパク質には、必須アミノ酸をはじめ数十種類のアミノ酸を含む良質なものであることがわかっています。
ミツバチは体に付着した花粉を脚で少しずつ集め、蜜と一緒に団子のように丸めて巣に持ち帰ります。この団子状の花粉を、一般の花粉と区別して花粉荷と呼びます。植物の命ともいえる物質で、豊富なタンパク質のほか、食物繊維、ビタミン、ミネラル、フラボノイドなどを含んでいます。
乳酸菌は、腸内環境を整えるために大切な“善玉菌”。免疫力にもかかわる良好な腸内環境は、健康の基本です。ミツバチの食べ物であるローヤルゼリー、花粉荷、蜂パン(花粉に蜜を加えて発酵させたもの)などを調べたところ、137株の乳酸菌が発見されました。現在、それらのさまざまな有用性が研究されています。