山田養蜂場運営の研究拠点「山田養蜂場 健康科学研究所」が発信する、情報サイトです。ミツバチの恵み、自然の恵みについて、予防医学と環境共生の視点から研究を進めています。
血液や血管の質の低下が原因となる病気をはじめ、体のさまざまな不調は少しでも改善したいものです。
ローヤルゼリーには、健康をどのようにサポートする力があるのかを調べた研究報告を集めました。
日本人に高血圧が多い第一の原因は、塩分の摂りすぎだといわれます。厚生労働省が定める1日の塩分摂取量の目標は、男性は9.0g未満、女性は7.5g未満です。これよりも多く塩分を摂っている人は、高血圧を予防・改善するために食事を見直すことが大切です。
近年、血圧を改善する作用のあるペプチドがあることがわかりました。ローヤルゼリーにもペプチドが豊富に含まれているため、ローヤルゼリーの飲用が血圧に作用するかどうかを調べる試験が行われました。
被験者には血圧が高めの人(最高血圧130~159mmHg 、最低血圧85~99mmHg )を集め、2つのグループに分けて試験を行いました。
一方のグループには、ローヤルゼリーペプチドを含む錠剤を、もう一方のグループにはプラセボ(※)を12週間飲用してもらいました。
その結果、下のグラフでわかるように、ローヤルゼリーペプチドを含む錠剤を飲用したグループでは、最高血圧と最低血圧の両方が、飲用開始10週間後と12週間後に低下しました。
【用語解説】
※本文中の「プラセボ」とは、思い込みによる作用を取り除くために用いられる偽薬や試験食のこと。思い込みによる作用は、「プラセボ効果」と呼ばれています。ここで紹介している研究で、プラセボを使用している場合は、「二重盲検法」という試験を行っています。これは、試験者と被験者のどちらにも、それがプラセボなのか、検討したい成分を含むものかをわからないようにして行うことによってプラセボ効果を除く信頼性の高い試験方法です。
冷え症は、手足の先や腰などに耐えがたい冷えを感じ、苦痛を感じるほか、むくみ、下痢や便秘、肩こり、不眠などさまざまな不調の原因になります。
以前は、冷え症は更年期症状のひとつとしてとらえられていました。しかし、調査を行ったところ、20代女性の41%が冷えを自覚していることがわかり、また、大学生と大学院生の女性を対象とした調査研究でも、約50%の人が冷え症と判定されました。現在は、冷え症は病気のひとつとして考えられるようになっています。
そこで、つらいだけでなくほかの病気にもつながる冷え症を改善するために、ローヤルゼリーが役立つかどうか、下のような試験を実施して確かめました。
その結果、ローヤルゼリーを2週間継続して飲用した女性は、手指の表面温度が冷えからの回復が早くなったことが確認されました。
冷え性と診断された女子学生を8人ずつ、(A)(B)(C)の3グループに分け、試験食を2週間飲用してもらいました。
2週間飲用後、両手を水に浸して温度を下げる「寒冷ストレス負荷」をかけ、手指の表面温度が回復する様子を比較しました。低用量・高用量ともにローヤルゼリーを飲用したフループは、プラセボグループより回復が早くなっていました。(下写真は6分後のデータ)
日本人女性の健康に関する悩みの中で、最も多いものが肩こりです。若いころは肩こりの症状がなかった女性でも、更年期症状のひとつとして肩こりが起こってくることがあります。また、若いころから肩こりを訴えていた女性は、更年期になるとさらに症状がつらくなることがあり、生活の質(QOL)を著しく低下させています。
肩こりの原因は血行不良、筋肉疲労、ストレスなどさまざまあり、それらを解消することが肩こりの改善につながります。しかし現状では、決め手となる改善法があるとはいえないため、有用な改善法を見つけるための多くの研究が行われています。
更年期周辺の女性にローヤルゼリーを飲用してもらったところ、肩こり(首筋のハリ)の自覚症状が減少したことが確かめられました。
毎日記録した5段階評価から算出した値を飲用開始から2週間後と4週間後で比較したところ、(A)酵素分解ローヤルゼリー飲用グループでは(B)プラセボ飲用グルー プよりも大幅に自覚症状が改善されました。
ローヤルゼリーは、女性ホルモンのエストロゲンに似た作用があることが観察されています。
エストロゲンは、骨代謝に重要な役割を果たしています。骨は毎日、同じ状態ではなく、少しずつ破壊されながら新しく形成されており、これを骨代謝といいます。女性は閉経後、エストロゲンの分泌が急激に減少するため、骨がうまく形成されなくなり、このことが骨粗しょう症の大きな原因になっています。
また、骨の形成や、骨の質を維持するためには、コラーゲンも重要な役割を担っています。
これらのことをふまえ、ローヤルゼリーに骨形成を促す作用があるかどうかを調べる試験が行われました。
試験は、骨形成を行う細胞の「骨芽細胞」を培養し、そこにローヤルゼリーを添加して観察する方法で行われました。
骨芽細胞に、ローヤルゼリーを0.01、0.1、1.0㎎/mlの濃度でそれぞれ添加し、24時間培養しました。
骨芽細胞の増殖を観察したところ、0.01、0.1㎎/mlのローヤルゼリーを添加した骨芽細胞が有意に増殖しました。
骨芽細胞に、ローヤルゼリーを0.1、1.0㎎/mlの濃度で添加し、培養しました。
コラーゲン量を測定したところ、ローヤルゼリーを添加したものは増加していました。このことから骨芽細胞のコラーゲン産生量が向上したことが示されました。
試験の結果をまとめると、0.01、0.1㎎/mlのローヤルゼリーを添加した骨芽細胞の増殖率が向上しました。また、コラーゲン産生量の増加が観察されました。このことから、ローヤルゼリーが骨形成を促進し、骨粗しょう症の予防や改善に役立つ可能性が示されました。
脂質異常症(高脂血症)とは、血液中の脂質が多すぎる状態で、動脈硬化を進行させる大きな原因になります。
血液中の脂質にはコレステロールや中性脂肪などがあります。これらの脂質代謝がうまくいかず、悪玉と呼ばれるLDLコレステロールが多くなりすぎたり、善玉と呼ばれるHDLコレステロールが少ない場合、または中性脂肪が多すぎる場合が脂質異常症です。
一番の対策は、甘いものや脂肪分の多い食品を摂りすぎないことですが、ローヤルゼリーに脂質代謝を助ける働きがあるかどうかを調べた試験を紹介します。
健康な成人男女15人の内、7人にローヤルゼリーを4週間飲用してもらったところ、総コレステロールとLDLコレステロールが減少。ローヤルゼリーが脂質代謝に作用し、動脈硬化などのリスクを下げる可能性が示されました。
総コレステロールが6%、LDLコレステロールが9.1%減少しました(上のグラフ)。HDLコレステロールと中性脂肪には変化がみられませんでした。
ローヤルゼリーを一生涯食べ続ける女王蜂が、働き蜂よりもはるかに長寿であることなどから、ローヤルゼリーと長寿やアンチエイジング(老化抑制)の関係を調べる研究が行われています。
ここで紹介する試験は、61人の健康な男女に、6ヵ月間の長期にわたってローヤルゼリーを飲用してもらい、身体測定や血液成分、心の健康を調べたものです。
42歳から83歳までの健康な男女61人を、31人と30人の2つのグループに分けました。一方のグループにはローヤルゼリーを含むドリンク、もう一方のグループにはプラセボを、6カ月間飲用してもらいました。
飲用開始前と飲用後に、身体・血液・心の健康状態などに関するさまざまな項目を検査しました。
検査項目の中で、統計学的に有効とされる変化がみられたものを下の表にまとめました。
この結果から、赤血球が増加、耐糖能(ブドウ糖の代謝能力)が改善、加齢に伴い減少するテストステロンが増加、心の健康状態が向上したことがわかりました。これらは、ローヤルゼリーの長期的な飲用が、老化の速度をゆるやかにし、心身ともに健康な状態を維持する助けとなる可能性を示しています。