山田養蜂場運営の研究拠点「山田養蜂場 健康科学研究所」が発信する、情報サイトです。ミツバチの恵み、自然の恵みについて、予防医学と環境共生の視点から研究を進めています。
あなたの血管年齢は、実年齢に合っていますか?まず下記のチェックリストで調べてみましょう。
たくさんチェックがついた人は危険信号。実年齢より血管が老けていると考えられます。
血圧の数値は普通、「上の血圧」「下の血圧」の2 つで表されます。心臓が収縮して血液を送り出すときが「上の血圧」、心臓が拡張して血液をためているときが「下の血圧」ですが、最近の研究で、上の血圧は2
つあることがわかりました。
そのひとつは、心臓が血液を送り出すときの圧力、もうひとつは、送り出した血液がおなかあたりの血管に反射して戻ってくる圧力で、私は前者を「善玉血圧」、後者を「悪玉血圧」と名付けました。
血管に反射して戻ってくる圧力は、血管が硬いほど強くなります。すると、体じゅうに送り出そうとしている血液は、その圧力に逆らう強い力が必要になり、これが心臓と血管に負担をかけ、さらに血管を老化させるのです。
血管が老いるとは、血管が硬くなるということ。これが「動脈硬化」です。動脈硬化の先にある心臓病や脳卒中を招かないように、そして心身ともに若々しく健やかであるために、今日から「血管若返り術」を実践しましょう。
※正確な血管年齢を知りたい人は、血液が心臓から全身へ送り届けられるときの波形をとらえる「加速度脈波計」のある医療機関で計測してもらうことができます。
ここからは、血管を若返らせるために、日常生活でできることをご紹介します
塩(塩化ナトリウム)が血圧を上げる理由は3つあります。①ナトリウムが血管壁に入り込み、革のように硬くする。②塩分を排出するため、腎臓から血圧を上げるホルモンが分泌される。③血管内の水分が増える。
③の理由は、私たちの体はナトリウムとカリウムの濃度がつり合っていますが、塩分が多くなると水で薄めてバランスを保とうとするため、血液量が増え、それを循環させる心臓の負担も増すということです。
日本高血圧学会が推奨する1 日の塩分摂取量は6g未満、WHO(世界保健機関)は5g未満としていますが、多くの日本人はその倍の塩分を摂っています。まずは1 日6gを目標に、“塩控えめ”を心がけましょう。
血管を流れている“血液の質”も血管の老化に影響します。川の水(血液)にゴミを投げ入れると、やがて川岸(血管)はゴミであふれ、流れ(血流)を止めます。雨が降って増水すると、はんらんして(血管のトラブル)、町中(体)に甚大な被害を及ぼします。
血管のゴミになるのは、摂りすぎた脂質や糖質です。もちろん、脂質も糖質も体に必要な栄養素。問題は摂りすぎです。これらが血液中にあふれ出すと、血液成分を団子状にくっつけ、サラサラの血液をドロドロに変えるのです。肉料理や甘いものはほどほどにしましょう。
若々しい血管を維持するためには、週2回、20分のウォーキングがおすすめです。ゆっくりすぎず速すぎず、息切れしない程度の早歩きにしましょう。
運動で筋肉を使うと血液の循環がよくなり、心臓も楽になって血管が若返ります。運動をする際のもうひとつのアドバイスは、“リラックスして”行うこと。リラックスしないと血管は開きません。無理をせずに、雨の日は部屋で「その場足踏み」や、いすに座ってつま先を20回ほど上げ下げするなど、ふくらはぎを中心に下半身を動かすだけで効果があります。
血管の内膜を覆う血管内皮細胞が傷つくと、そこからコレステロールが入り込みます。すると、紫外線の影響などで過剰になった活性酸素が、これを有害な酸化コレステロールに変えます。これを退治するのが白血球の仲間マクロファージ。コレステロールを次々と食べますが、満腹になると脂質を多く含むブヨブヨの細胞へと変わります。
これがプラークの正体です。
さらに、プラークが破裂してはがれると、血小板がかけつけ、血栓という血のかたまりで傷を修復。心臓の血管がプラークと血栓で補強されて狭まると不安定狭心症(※)、完全に詰まると心筋梗塞になります。プラークをためないように、コレステロールや中性脂肪を摂りすぎないことが最大の予防策です。
※発作の起こり方が一定のものを安定狭心症といい、心筋梗塞になる可能性が低いのに対し、発作の頻度が増して持続時間も長くなったものを不安定狭心症といい、急性心筋梗塞を起こしやすいので注意が必要。
心筋梗塞で倒れた人に「電話が鳴ると、すぐに出ないと気がすまない性格では?」と聞くと、「その通り」という答えが返ってきます。このような“せっかちさん”は、常に気を張っています。緊張した状態が続くと、血管は収縮してしまいます。アメリカの心臓専門医が行った調査でも、この性格の人は動脈硬化から心臓病・脳卒中になりやすいことが裏づけられました。
とはいえ、急に性格は変えられません。こんな工夫をしてはいかがでしょうか。電話が鳴ったら「ああ、電話か。しょうがないなあ。仕方がないから出よう」と心で唱えてから出るのです。それだけで血管と心臓のストレスが軽減されるでしょう。
食事の最初に栄養豊富で低カロリーの野菜を“たっぷり”食べる。無理なくごはんが減らせます。また、カリウムを多く含む、ほうれん草、大豆、昆布などの食品を積極的に摂れば、塩分の排出が促され、高血圧対策になります。
ウォーキングは少し早歩きがおすすめ。もう少し体力がある人は、有酸素運動の水泳やエアロビクスもいいでしょう。リラックスして運動を楽しむことが、血管を開かせるコツ。
睡眠中は血管が開き、血圧も下がります。毎日、同じ時刻に寝起きすることが熟睡のポイント。長い時間寝ようとするのではなく、質のよい睡眠を心がけましょう。
1日50本のたばこを吸う人が禁煙すると、血管事故のリスクが3分の1に。今すぐ禁煙をスタートしましょう。
ストレスは回避するのではなく、ため込まないこと。1日1回「気持ちいい」と思うことをしましょう!
年に1 度は健康診断を受けましょう。
WHO(世界保健機関)は、2013年1月31日、成人の塩分摂取量を1日5g未満にすべきという新たな指針を発表しました。WHOでの実験で塩分摂取量を5g未満にした場合、血圧の抑制が認められたということです。
ところが、以前から塩分の摂りすぎが指摘されている日本人の2011年の塩分摂取量は、1日平均が成人男性
11.4g、成人女性9.6gと、およそ倍(厚生労働省)。日本人にとって塩分を減らすことは簡単ではないようです。
WHOでは、塩分摂取量を減らすだけでなく、塩分を排出するカリウムを多く摂ることを推奨しています。カリウムは野菜、海藻、豆類などに多く含まれていますが、多様な食品に含まれているにもかかわらず、不足しがちな栄養です。
近年、高血圧を改善する成分として、ペプチドが注目されており、サーディン(イワシ)ペプチド、ラクトトリペプチドなどが特定保健用食品となっています。また、ペプチドを豊富に含むローヤルゼリーにも血圧改善作用が期待されています。
ローヤルゼリーの飲用試験では10週間後と12週間後に血圧が下がりました(グラフ参照)。
高血圧は、心筋梗塞や脳梗塞などにつながる生活習慣病です。そのまま放置しないで、しっかり改善して
いくことが大切です。
監修
高沢謙二先生
東京医科大学教授・東京医科大学八王子医療センター病院長・医学博士。1952年埼玉県生まれ。東京医科大学卒業。テレビ・雑誌などでも活躍中で血管と老化や病気のかかわりをわかりやすく解説。著書多数。