山田養蜂場運営の研究拠点「山田養蜂場 健康科学研究所」が発信する、情報サイトです。ミツバチの恵み、自然の恵みについて、予防医学と環境共生の視点から研究を進めています。
知っているようで実はよく知らないローヤルゼリーのこと。
「はちみつの成分?」と思う人も多いようです。
ミツバチはローヤルゼリーをどのように作り、利用しているのか、
私たちの体の中ではどう働くのか、科学的研究の結果報告をふまえながらご紹介します。
乳白色でとろりとしたローヤルゼリー。味は酸味が強く、はちみつをイメージしていると、その違いに驚くかもしれません。
はちみつは、働き蜂が花蜜を集めて巣で熟成させたものですが、ローヤルゼリーは働き蜂が花粉などを体内で消化・分解し、分泌したものです。ローヤルゼリーは、主に女王蜂だけの食べ物。ミツバチがまだ卵のとき、働き蜂と女王蜂の違いは、遺伝子レベルでみてもまったくありません。孵ふ化かした後、ローヤルゼリーを食べ続けた蜂だけが、女王蜂になります。言い換えれば、女王蜂はローヤルゼリーによってつくられるのです。
女王蜂は体の大きさが働き蜂の2~3倍あり、寿命も30~ 40 倍あります。また、女王蜂だけに卵を産む能力が備わっています。このような体型や能力の違いは、遺伝子によって決まるのだと考えられてきましたが、“ローヤルゼリー”という生後の食べ物によって決定するとわかり、それは大きな驚きでした。
働き蜂の寿命が1ヵ月余りであるのに対して、女王蜂の寿命は3~4年。実に30~40倍も長く生きることがわかっています。女王蜂と働き蜂の違いを生み出すのは“食べ物”。女王蜂は生涯、ローヤルゼリーだけを食べます。そこで、寿命の長さの秘密もローヤルゼリーにあると考え、マウスを使った試験が実施されました。
ローヤルゼリーを高用量与えるグループ、中用量与えるグループ、低用量与えるグループ、ローヤルゼリーを与えないグループに分けて比較したところ、それぞれの生存率はグラフのようになりました。
また、この試験で、高用量と中用量のローヤルゼリーを与えたグループの平均寿命が、低用量グループおよびローヤルゼリーを与えなかったグループより明らかに長くなっていることが確認されました。