山田養蜂場運営の研究拠点「山田養蜂場 健康科学研究所」が発信する、情報サイトです。ミツバチの恵み、自然の恵みについて、予防医学と環境共生の視点から研究を進めています。
手足がいつも冷えている、背中
がゾクゾクする、寒くて眠るときもくつ下が手放せないなど、冷えを感じている人は、現代の日本にとても増えています。
医学大事典には、日本人のわきの下の平均体温は36.89±0.34度とありますが、いまや36度後半の体温の人はとても少ないのではないでしょうか。
実際、私のクリニックを受診される患者さんの体温は、高くても36度前半、ほとんどの人が35度台で、冷えがひどい人では34度台ということもあります。
冷えている人のなかには、それに気がついていないケースが少なくありません。右ページのような症状がある人は、冷えているサインです。このほかにも、汗をかきやすい人も冷えています。汗をかくのは、体内の余分な水分を捨てて体を温めようとする反応です。
冷えは「万病の元」といわれ、体温が下がると病気にかかりやすくなります。気温が下がる冬は、冷えやすい季節です。冷え症の人はそれ以上体を冷やさないようにすると同時に、体を温める生活を心がけるようにしましょう。
私が体温の低下を問題視してい
るのは、健康によくない影響を与えるからです。前述のように、私たちの体は36.5~37度くらいの体温が、最も体の機能がうまく作用するようになっており、それよりも低下すると、さまざまな不調や病気を起こしやすくなります。
特に、体温が35.5度以下の状態が長期間続くと、排泄機能の低下、アレルギー症状、自律神経失調症などが出やすいとされています。35度はがん細胞が最も増殖しやすい体温ですし、34度になると低体温症で生命に危険が及ぶレベルとなります。
また、体温が1度下がると免疫力が30%以上も低下する、代謝が約12%低下するといわれています。免疫力が低下すると病気にかかりやすくなり、代謝が低下すると血液中に燃焼しきれなかった老廃物が残ってドロドロ状態となり、動脈硬化の進行を促します。
さらに、代謝の低下は、体温を維持するためのエネルギー産生がスムーズにできなくなり、さらなる冷えを招くことになります。
私が、体を温めるてっとり早い方法として、いつもおすすめしているものがしょうが紅茶です。しょうがは体を温める作用が非常に強く、しょうがを食べると体がポカポカとしてきます。また、紅茶には利尿作用があり、体内の余分な水分を排泄して体を温めます。体を温める作用が非常に強いしょうがと紅茶、それに黒砂糖を加えたしょうが紅茶は、冷え症の人の強い味方となる「体温めドリンク」の決定版といえるでしょう。
しょうがだけではありません。食べ物には「体を冷やす陰性食品」と「体を温める陽性食品」があります。冷えやすい人は、日頃から体を温める陽性食品を積極的にとるようにしましょう。
このほかにも、食べ過ぎないようにすることも大切です。食べ過ぎると、食べたものを燃焼しきれず、血液中に老廃物が残ってしまいます。すると、血液循環が悪くなり、全身の細胞に血液がスムーズに送られず、酸素や栄養素を細胞に十分に供給できなくなって代謝が低下して冷えを招きます。小食にするだけで、冷え症の改善につながるでしょう。
寒い地方で育った作物(りん
ご、そば、鮭など)、暖色系・黒っぽい色の食べ物(赤身肉、ワイン、みそ、とうがらし、紅茶、黒砂糖、全粒粉パン、黒豆、海藻など)、かたいもの(根菜類、チーズ、漬物など)は体を温める陽性食品です。逆に、白っぽいもの(精白米、うどん、白いパンなど)や南方産のフルーツ(バナナ、パイナップルなど)、寒色系の食べ物(葉野菜、緑茶など)は陰性食品なので避けるか加熱して食べましょう。
しょうが1 かけ(10g)はよく洗って、皮付きのまますりおろす。ティーカップに熱い紅茶を入れて、おろししょうが(しょうが汁でもよい)を加え、好みで黒砂糖を加えて混ぜる。
ローヤルゼリーを継続的に摂取することで、“冷え”を軽減できることがわかっています。
監修
石原結實先生
医学博士。イシハラクリニック院長。長崎大学医学部卒業後、血液内科を専攻。同大学院博士課程修了後、ヨーロッパで最前線の自然療法を研究。東洋医学をとり入れた独自の食事療法、運動療法は各界要人からも絶大な信頼を得ている。