山田養蜂場運営の研究拠点「みつばち健康科学研究所」が発信する、情報サイトです。ミツバチの恵み、自然の恵みについて、予防医学と環境共生の視点から研究を進めています。

蜂の子 明らかになる健康機能~最新研究ダイジェスト

蜂の子は世界各地で、郷土料理の素材として広く愛用されています。さらに近年、その健康効果として、「耳の聞こえによい」という情報が広まっています。ここでは、信頼性のある科学的な手法で行なわれた最近の研究成果を、ダイジェスト版でお伝えします。
より詳しいデータや論文をご覧になりたい方は、研究者の皆さま向けページをご覧ください。

蜂の子の「聴力・耳鳴り改善」に関する研究データ

蜂の子が、耳の聞こえを良くし、耳鳴りのつらさを軽減

「耳鳴り」とは、“外界に音を出しているものが無いのに、キーンとか、ザーッという音が聴こえるように感じられる状態”のこと。耳鳴りは本人にしか聴こえないため、そのつらさは周りの人たちに理解されにくいのですが、常に雑音が聴こえることによって、集中力の低下や不眠、イライラ、不安感といった精神的なストレスを感じやすくなり、生活の質の低下を招く重大な問題と言えます。さらに、耳鳴りを感じている人の約90 %が難聴を自覚しているとの報告もあります。

耳鳴りを感じる人の割合は年を重ねるごとに増加し、難聴も加齢に伴って進行します。実際に、日本において耳鳴りや難聴に悩まされている人の割合は、すべての年代を対象とすると約5人に1人ですが、65歳以上を対象とすると約3人に1人にもなります。

このように耳鳴りや難聴は、高齢者を中心に、生活の質を脅かすものとして世界中で問題になっています。また、最近では、若い人においてもストレスによる難聴が増えてきていると言われています。しかし、耳鳴りや、加齢による難聴への有効な治療法は、まだ十分とはいえない状況です。

近年、蜂の子が聞こえの改善に効果があるという情報が広く知られるようになり、蜂の子への期待が高まっています。これらの情報は必ずしも科学的に証明されたものばかりではありませんが、日常生活で手軽に摂取できる蜂の子にそのような効果があれば、耳鳴りや難聴に悩む人の生活の質の改善に大いに役立ちます。そこで、蜂の子による聴力回復の効果についての検証を行いました。

蜂の子が耳鳴り・聴力レベルに与える影響

耳鳴りをともなう難聴患者60名を無作為に2群に分け、一方には「酵素分解された蜂の子(180mg/カプセル、4カプセル/日)」を(以下、蜂の子グループ)、一方には「酵素分解蜂の子を含まないプラセボ(偽薬)」を(以下、プラセボグループ)、12週間摂ってもらいました。12週間の摂取の前後には問診、聴力検査、血液検査を実施しました。
試験食の摂取後に問診にて耳鳴りに関する自覚症状を尋ねたところ、蜂の子グループでのみ、“耳鳴りから逃れられないかのように感じる”“全く耳鳴りを制御できないと感じる”“耳鳴りのせいでうつになる”といった抑うつ感に関する自覚症状が、摂取前よりも軽くなっていることがわかりました。このことから蜂の子の摂取は、耳鳴りに伴う不安や苦痛を和らげることがわかりました。

さらに聴力検査の結果、蜂の子グループでは、試験食の摂取後に、より聴こえやすい方の耳(良聴耳)で、2,000 Hzおよび4,000 Hzにおける聴力の回復がみられました。一方、プラセボグループでは、より聴きづらい方の耳(難聴耳)で2,000 Hzにおける聴力レベルが低下し、良聴耳でも低音域における聴力レベルが低下していました。このことから、蜂の子には時間経過による聴力の低下を予防し、さらに回復させる効果があることが明らかとなりました。特に2,000~4,000 Hzは、“か”“さ”“た”などの子音に当たる周波数であるため、蜂の子は、この音域を聴き取りやすくすることによって、日常会話をスムーズにすることが期待できます。

また、血液検査から、蜂の子グループでは、ストレス時に分泌されるホルモン「コルチゾール」の分泌が低下していることがわかりました。
今回の試験で、酵素分解蜂の子の摂取によって聴力が改善した背景には、こうしたコルチゾールの低下も影響していると考えられます。コルチゾールは加齢によっても増加するため、加齢とともに進行する難聴に対しても予防的な効果を発揮する可能性があります。
この研究によって、蜂の子には、ストレスホルモンのバランスを整えて、耳鳴りにともなう不安や苦痛をやわらげるとともに、聴力を回復させる効果があることがわかりました。

今回の摂取期間は12週間でしたが、さらに長期間摂取し続けることによって、より高い回復効果が見られるかもしれません。耳鳴りには危険な病気が潜んでいることもありますので、まずは医師の診察を受けることが重要であることは言うまでもありませんが、蜂の子が、耳鳴りや難聴に悩む人の生活の質の改善に役立つことも期待できます。

蜂の子が聴力レベルに与える影響

(2009年度山田養蜂場みつばち研究助成基金採用研究、論文発表)

みっち&ハチロー博士と わかりやすく学ぶ 蜂の子