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「健やかに」発刊録

健やかに 2014年12月号 免疫力の低下が病気を引き起こす!

免疫力の低下が病気を引き起こす!

そもそも免疫力って何?

"免疫ができる" の免疫は獲得免疫のこと

"免疫"という言葉はよく、「○○に対する免疫がある」「○○の免疫ができた」というように使われます。 これはたとえば、一度、麻疹(はしか)にかかると、麻疹に対する抗体がつくられて、二度と麻疹にかからないようになる……といった現象を指します。このときの抗原は麻疹ウイルスです。 このような抗原と抗体による反応でできた免疫は「獲得免疫」と呼ば れます。麻疹に対する免疫は、麻疹にだけ有効で、水ぼうそうなど、ほかの病気には力を発揮しません。

最初に活躍するのは自然免疫

獲得免疫のほかに、人間には本来、「自然免疫」という免疫力が備わっています。自然免疫は、病原菌などが侵入してからつくられるのでなく、もともと自然に備わっている抵抗力。抗原を特定して退治する獲得免疫と比較すると、攻撃力は穏やかですが、体に異物が入ってきたときに真っ先に働き、病気全般から体を守ってくれるのです。 獲得免疫と自然免疫の違いは表のようにまとめられます。

獲得免疫と自然免疫の違い

獲得免疫のしくみ

免疫力はウイルスとどう闘う?

人は風邪をひいても、通常は、少し安静にしていれば自然に治っていきます。そのとき免疫力はどのように働いているのでしょう。
私たちの体は、皮膚や粘膜、粘液などのバリアーによって、外敵が侵入しないように守られています。咳やくしゃみなども、異物を外へ追い出すための効果的な仕組み。これらも自然免疫の一部といえます。では、鼻水が出た程度で風邪が治れば、自然免疫力は高いのでしょうか?
風邪のウイルスと免疫力の闘いは、軽い症状に気づく前から、既に始まっています。
ウイルスが体に侵入すると、細胞に取りついて(感染)、仲間を増やそうとします。一方、ウイルスに取りつかれた細胞(宿主<しゅくしゅ>細胞)は、Ⅰ型インターフェロンという物質を出して、周辺の細胞にウイルスを増殖させないために防御を固めるよう指示します。
また、Ⅰ型インターフェロンはNK細胞にウイルスを攻撃するよう伝えます。
NK細胞の役割は、ウイルスに感染した細胞を自殺させ(アポトーシス)、ウイルスもろとも死滅させること。そうすることで、ウイルスのさらなる増殖を防ぐのです。
ウイルスの攻撃が激しいと、細胞は次々にアポトーシスを起こします。それが喉(のど)や鼻で起これば、細胞を失った粘膜が刺激され、咳や鼻水といった症状が出てきます。ここで初めて私たちは、「風邪をひいたかな」と自覚するのです。

免疫力はウイルスとどう闘う?

闘いが長引くと炎症や発熱が起こる

自然免疫の次の段階では、白血球の好中球(こうちゅうきゅう)とマクロファージが働きます。体に侵入したウイルスは、肝臓でつくられる物質によって凝集され、貪食(どんしょく)細胞と呼ばれる好中球とマクロファージがそれを食べて処理します。
さて、ここでもウイルスに勝てない場合は、好中球やマクロファージは、血管壁から粘膜に入り込み、ウイルスとの闘いがくり広げられ、炎症が起きて発熱します。発熱はウイルスの力を弱めて、自然免疫を優勢にするための現象です。
さらに闘いが続くと、白血球中のリンパ球であるT細胞とB細胞が活躍。T細胞はウイルス感染した細胞をウイルスもろとも死滅させます。また、B細胞は免疫グロブリンを産生し、ウイルスを攻撃します。こうして最終的には自然免疫と獲得免疫が協力して、ウイルスを退治するのです。

自然免疫力が低下する原因は?

免疫が闘っていながらも重症化してしまうのは、自然免疫力が低下しているから。なぜ免疫力は低下するのでしょうか。
大きな原因は、「ストレス」「冷え」「加齢」の三つ。ストレスが大きくなりすぎると、自律神経のバランスが乱れ、免疫力を低下させます。冷えについては、後ほど詳しく説明します。加齢による影響は、主に獲得免疫のリンパ球が減ることですが、生活の仕方次第で自然免疫力を高め、リンパ球の数も保つことができます。
次のページで免疫力を高める生活習慣を紹介します。

「ストレス」「冷え」「加齢」

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