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「健やかに」発刊録

「健やかに」2013年12月号 血液・血管の健康とローヤルゼリー研究 『血管力』が健康長寿のカギを握る

血液・血管の健康とローヤルゼリー研究 『血管力』が健康長寿のカギを握る

日本人の死因の第1位はがんですが、2位の心疾患、4位の脳血管疾患、8位の腎不全(じんふぜん)は、もともとは血管の病気で、3つを合わせるとがんに匹敵する数字となります。血管の健康を守るためにできることを、テレビなどの医学解説でおなじみの“血管の名医”池谷敏郎先生に詳しく伺いました。

死因グラフ

血管の老化が「突然死」や「寝たきり」を招く 【動脈硬化は体のさまざまの部位で病気を引き起こす 図】

生活習慣の違いで血管の老化速度が変わる

血管の柔軟性が失われ、血管壁が厚く狭くなった状態を「動脈硬化」といいます。動脈硬化は全身の血管で起こりますが、特に心臓や脳で発症すると「突然死」や「寝たきり」など、深刻な事態につながりかねません。
動脈硬化が原因の病気は、「血管が詰まる病気」と「血管が切れる病気」の2つに大別できます。
動脈硬化によってできた血栓が血管に詰まって発症するのが「詰まる病気」です。脳や心臓の血管が詰まった状態が脳梗塞や心筋梗塞です。高血圧により腎臓の血管が詰まると腎硬化症になり、進行すると腎不全を発症して人工透析が必要になります。足の末梢の血管が詰まると閉塞性動脈硬化症になり、壊死を起こして足の切断に至ることもあります。脳血管性認知症は、脳の血管に小さな脳梗塞が多発して脳の機能が低下する病気です。

一方、動脈硬化によってもろくなった血管壁が破れて出血するのが「切れる病気」です。脳の血管が切れるくも膜下出血や脳内出血、腹部や胸部の太い血管壁にできた瘤(こぶ)が破裂する大動脈瘤(だいどうみゃくりゅう)破裂などがあります。
「人は血管とともに老いる」という言葉もあるとおり、動脈硬化は老化によっても起こるため、完全に防ぐことはできません。しかし、血管の状態は毎日の食事や生活習慣の影響を非常に大きく受けることがわかっています。そのため実年齢が同じでも、人によって血管年齢が大きく違ってくるのです。

血管年齢が実年齢より若い人、老化している人の生活パターンや性格を比較!

高血圧・高血糖・高脂質がが動脈硬化を引き起こすのはなぜ?

「少し高めなだけ」という油断が動脈硬化を進行させてしまう

動脈硬化は、命にかかわる怖い病気であるにもかかわらず、自覚症状がほとんどないため、「サイレント・キラー(沈黙の殺し屋)」と呼ばれています。動脈硬化を進行させる大きな原因となるのが「高血圧」「糖尿病」「脂質異常症(高脂血症)」の3つの生活習慣病です。

仮面をつけた「隠れ生活習慣病」を見つけよう

健康な血管は柔らかく弾力がありますが、高血圧になって常に高い圧力を受け続けるうちに硬く厚くなり、血液の通り道が狭くなったり、傷がついたりします。
また、糖尿病になると血液の質が悪くなり、血管壁にダメージを与えます。最近の研究によると、血液中に増えた糖質が体内のタンパク質と結びついてAGEs(終末糖化産物)という物質をつくり、活性酸素によって血管を傷つけることがわかってきました。AGEsは血管壁の内部にも侵入し、動脈硬化の進行に拍車をかけるのです。

血管の内皮細胞が傷つき、プラークができる

さらに血液中の脂質が増えて脂質異常症になると、“悪玉”と呼ばれるLDLコレステロールが血管の内膜に侵入します。すると血管内に「プラーク」という瘤ができたり、崩れたプラークを修復するために集まってきた血小板が血栓をつくったりして、血管をふさぐ原因となるのです。
これらの生活習慣病は、予備軍の段階では「少し数値が高いけれども、正常の範囲」として見過ごされることが多いため、「隠れ生活習慣病」と呼ばれています。この3大隠れ生活習慣病のほか、「喫煙」や「ストレス」も動脈硬化を進行させる要因です。

血管は若返る!悪玉コレステロールを減らすこと、できてしまったプラークを安定させることがポイント

生活習慣を改善すると1週間で血管に変化が!

プラークには崩れやすい「不安定プラーク」と、血圧の上昇などを受けても崩れにくい「安定プラーク」の2種類があります。
不安定プラークの中身はドロドロの脂質で、その表面は薄くてはがれやすい被膜でおおわれています。血圧の上昇などで簡単に破れ、その傷を修復するために血小板が集まって血栓をつくり、血管を詰まらせます。できたばかりの小さなプラークは不安定プラークであることが多く、実際、心筋梗塞を発症した人を調査したところ、小さいプラークのほうがリスクは高いことがわかっています。
それに対し、安定プラークをおおっているのは厚い被膜で、少々のことでは破れません。不安定プラークが時間をかけて安定化したものです。また、近年の研究により、LDL(悪玉コレステロール)/HDL(善玉コレステロール)比が1.5以下になるとプラークが小さくなり、安定化することがわかってきました。
これまでは「動脈硬化になった血管は、元に戻らない」といわれてきましたが、現在では初期の動脈硬化は改善法が確立されつつあり、硬く厚かった血管もある程度しなやかさや柔らかさが戻ることがわかっています。食事や生活習慣を改善し、軽い運動を取り入れることで、早ければ1週間くらいでプラークに変化がみられます。それでは、具体的な方法について詳しく見ていきましょう。

血管を若返らせる生活習慣

禁煙

血圧を上昇させる、発がん物質が含まれるなど、喫煙は「百害あって一利なし」。禁煙治療を受けることをおすすめします。

良質な睡眠

良質な睡眠睡眠中は血管の健康を守るホルモンが分泌される重要な時間。
日中は活動的に過ごし、就寝前に軽く運動したり入浴したりすると、寝付きやすくなります。夜遅くパソコンやスマートフォンなどの強い光を浴びると寝付けなくなるのでやめましょう。

イライラしないがまんしすぎない

心理的にストレスを抱えていると、血圧や血糖値が上昇し、血管に負担をかけます。イライラしたら深呼吸をくり返したり、ときには言いたいことを言ってみたりして、ストレスをうまくかわしましょう。

血管を若返らせる生活習慣 食生活 編

朝だけダイエットのすすめ

朝だけダイエットのすすめ食事の量を減らすのが難しい人には、朝はジュースを飲むだけにする「朝だけダイエット」がおすすめです。にんじん1本半、りんご、レモン各1/2 個をジューサーで絞り、そこに亜麻仁油(あまにゆ)<オリーブ油、エゴマ油、シソ油でもOK>小さじ1/2 を加えれば完成です。これだけで必要なビタミン・ミネラルがカバーでき、糖質も適度に抑えられます。

減塩、野菜たっぷり魚でDHA・EPA を

塩分(ナトリウム)の過剰摂取は高血圧の原因となるので、減塩は必須です。まずは1日8g程度を目標に。野菜にはナトリウムを排出するカリウムや、抗酸化作用のあるフィトケミカルなど、血管を守る成分が豊富。1日400gを目標にたくさん食べましょう。
サバ、サンマなどの青魚に含まれるDHAやEPAは脂質を改善して動脈硬化を予防する作用があります。肉より魚中心の食生活に。

「ビーマルワン」が多い時間を避ける

「ビーマルワン」が多い時間を避ける私たちの体内には脂肪をためこみやすくする「ビーマルワン」というタンパク質があります。ビーマルワンは夜間に多く分泌され、昼間の1~2時頃は少なくなります。同じものを食べてもビーマルワンが多い夜や朝は太りやすいので要注意。

血管を若返らせる生活習慣 運動 編

入浴前の運動のすすめ

入浴前の運動のすすめ運動には、血液中の余分な糖や脂肪を減らす、血管の内皮細胞を活性化させるなど、たくさんのメリットがあります。運動におすすめのタイミングは、夕食後、入浴前です。食後30分~1時間空けてから、10~15分程度運動しましょう。夕食後はビーマルワンの分泌が多い時間帯なので、そのまま入浴して寝ると脂肪をためこみやすくなり
ます。ここで運動することで、エネルギー消費を狙うのです。運動のあとで入浴すれば、汗を流してさっぱりでき、血圧低下や疲労回復効果なども得られて血管の若返りに一石二鳥です!

NOを増やす運動(1)(手クロス体操)

NOを増やす運動(2)(ふくらはぎ体操)

池谷敏郎先生

池谷敏郎先生
池谷医院院長。内科専門医、循環器専門医。1962年生まれ。
東京医科大学医学部卒業。わかりやすい医学解説に定評があり、TBS系テレビ『駆け込みドクター!』にレギュラー出演中。近著に『「しなやかな血管」で若返る!』(KKベストセラーズ)、『血管を強くして突然死を防ぐ!』(すばる舎)など。

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