山田養蜂場運営の研究拠点「みつばち健康科学研究所」が発信する、情報サイトです。ミツバチの恵み、自然の恵みについて、予防医学と環境共生の視点から研究を進めています。

トップ > 研究所のご案内 > 所長からのメッセージ

所長からのメッセージ

第4章 求む! 確かな "情報源"

「特許出願中」「○○学会で発表」「□□という学術誌で発表されました」――健康情報で、このようなコピーを目にしたことはありませんか?どこかで発表したり、どこかに認められたりしたことを示す言葉が添えられている情報は、科学的で確かなもののように感じられます。しかし実はこれらにも、科学的な信頼性の点で優劣があるのです。
特許、学会発表、学術論文――このなかで、健康情報の情報源として最も信頼できるものはどれだと思いますか?

学術論文 ~厳しい審査を経た確かな情報~

さっそく結論を申し上げます。最も信頼できるのは「学術論文」 です。学術論文とは、学問上の分野ごとに発刊されている専門的な雑誌(学術誌)に掲載された論文のことです。
論文は主に、「緒言(研究の背景の説明)」「試験方法」「試験結果」「考察」「結論(新しく発見された事柄のまとめ)」で構成されており、記載された試験方法に従って試験をすれば、誰でも同じ結果が再現できるように書かれています(“再現性”については、第1章「健康情報の「科学的信頼性」のレベル ~ヒト試験から試験管内試験まで~」をご覧ください)。
さらに、論文が学術誌に掲載されるにあたっては、各分野の権威が複数で、試験方法が適切か、結論を導くデータに不足はないか、充分な考察がなされているかなどを審査し、掲載の可否を判断します。つまり、学術論文が科学的な視点からの厳しい審査を勝ち抜いて発表されたものであるために、学術論文に基づいた健康情報は科学的な信頼性が高いのです。

学会発表 ~学術論文になる手前の情報~

学会とは、学術研究の発展と社会への貢献を目的として、研究成果の発表の場や研究者同士の交流の場を提供する機関で、分野ごとに国内だけでも約1,600団体あります。これらの学会は、年に1回から数回、所属する会員が集う「学術集会(あるいは大会)」を主催します。ここでなされる研究発表が、「学会発表」です。
学会発表の最大の目的は、発表内容に関する意見交換です。普段は顔を合わせられない多くの研究者と議論することで、研究を進める上でのヒントが得られるのです。言い換えれば学会発表とは、より完成度の高い学術論文を執筆するために、論文になる前のデータを公表し、同じ分野の研究者から助言をもらうために行なうものなのです。
そのような目的があるため、学術集会は万人に開かれており、多くの学会は発表内容の厳密な審査を行ないません。この「審査が無い」という点が、学術論文と大きく異なります。したがって、情報源が学会発表しかない健康情報は、学術論文を情報源としたものに比べると、信頼性は低いと考えるのが妥当です。

特許 ~科学的な信頼性は保証しない情報~

「特許出願中」や「特許取得」は、健康情報において、「論文発表」や「学会発表」よりも頻繁に見かける言葉かもしれません。特許とは、これまでに無かった技術、物、アイデアなどを発明あるいは発案した人(個人・法人)に対して、一定期間、独占的に使用できる権利を保証するものです。つまり特許の目的は、新しい発明や発案を行なった人の権利を守ることです。
特許を取得する上で最も重要視されるのは、科学的に信頼できる内容かどうかという点よりも、「これまでに無いものか」「これまでよりも進歩しているか」という点です。そのため特許は、内容が科学的であることを証明するものではなく、他が持っていない独自の技術や製品、アイデアであることを証明するものであるといえます。
また、特許は、特許庁へ出願した後の審査を通過して初めて、公式に登録することができます。つまり「出願中」の特許は、出願者自身が「独自性や科学的な信頼性がある」と判断したものではありますが、公的な結論は下されていないのです。

以上のように、科学的な信頼性の面から見て、最も価値があるのは学術論文に基づいた情報です。もちろん、学会発表や特許を否定するものではなく、そもそもの目的が異なるのです。「学会」「特許」といったコピーに惑わされず、情報そのものの質に注目して、科学的に信頼できるかどうかを判断しましょう。

第4章のまとめ:

  • 健康情報の情報源として最も信頼できるのは「学術論文」。
  • 「学会発表」には基本的に審査が無いため、
    科学的な信頼性は論文発表よりも低い。
  • 「特許」は、他が持っていない独自の技術や製品、アイデアであることを証明するものであり、科学的な信頼性を保証するものではない。

監修:みつばち健康科学研究所 所長 橋本健

健康長寿の基本は、適切な食事や運動、睡眠などの生活習慣にあります。生きがいを持ち、仲間とコミュニケーションをとって、日々を楽しむことも重要です。その上で、自分の体の変化に関心を持ち、体調に合った情報を取り入れて実践すれば、より健康的な毎日を過ごせるでしょう。新たな健康情報が次々と発信されている今、本当に自分の役に立つ、信頼できる情報を見分けることが求められているのです。
本コラムで4章にわたってご説明した「健康情報の見分け方」が、皆様の賢明な選択のお役に立つことを願っています。

前のページへ

4/4
今月の対談録
今月の健康情報